工事費・人件費は減価償却費の対象内なのか否か

本サイト・記事は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」をもとに作成しております。ガイドラインの解釈に関しては異なる場合がありますので参考程度にお読みください。

目次

こんなお悩みをお持ちの方への記事になります

減価償却分は考慮されたけど、人工代?人件費は請求された。

原状回復費用の基本的な考え方

費用負担の発生するかしないか

借主の行為が原因
※故意・過失・事故に関わらない
劣化・自然災害等のやむを得ない事情が原因
※漏水など
わざとかどうかには関係なく、借主が汚したり、キズをつけた場合、補修費用は借主が負担すべきとされている通常に使用している場合や災害等のやむを得ない事情で汚れたり、キズがついた場合、補修費用は借主が負担する必要はないとされている

どうしてこの様な問題が起きるのか。

この様な問題が起きるのは、ガイドライン上に明記がない為です。

多くの工事では、材料費と作業費がかかります。作業費を減価償却の対象とするかしないかで借主の費用負担が大きく変わるでしょう。

例えばクロスを例にした負担額では、30㎡の部屋に6年住んで退去した場合、クロスの費用負担に開きがあります。ただし、貸主の故意過失はないものとし、クロスの貼り換え工事費用は1,200円/㎡(内訳:材料費200円/㎡、作業費1,000/㎡)とする。

人工代を減価償却の対象内とした場合人工代を減価償却の対象外とした場合
材料費1円1円
人工代(人件費・工事費)30,000円
合計1円30,001円

ガイドライン上の記載

ガイドライン上の記載は以下の通りです。

要約すると、、

例えば、6年以上住んでいてクロスの価値が1円だとしても、借主の故意過失がある場合に引き続き使用できると判断できる場合には人件費・工事費について請求できる。

なお、経過年数を超えた設備等を含む賃借物件であっても、賃借人は善良な管理者として注意を 払って使用する義務を負っていることは言うまでもなく、そのため、経過年数を超えた設備等であ っても、修繕等の工事に伴う負担が必要となることがあり得ることを賃借人は留意する必要がある。 具体的には、経過年数を超えた設備等であっても、継続して賃貸住宅の設備等として使用可能な場 合があり、このような場合に賃借人が故意・過失により設備等を破損し、使用不能としてしまった 場合には、賃貸住宅の設備等として本来機能していた状態まで戻す、例えば、賃借人がクロスに故意に行った落書きを消すための費用(工事費や人件費等)などについては、賃借人の負担となるこ とがあるものである。

原状回復をめぐるトラブルとガイドライン

ガイドライン上の問題点

しかしながら、ガイドライン上には以下のことが明記されていません。

  • どの様な場合に工事費用、人件費を負担するべきなのかの具体例
  • 工事費・人件費について減価償却費の対象をするか否か
  • 使用できるか使用できないかの判断を下す根拠

結論

察しの良い方はお気づきだと思いますが、ガイドラインについて一義的な解釈ができない為、現段階ではどっちが正しいのか間違いなのか判断はできません。

そこで現状は以下のようにトラブルが起きてしまうのです。

請求の根拠がないから、どっちの請求方法にしようかな、、。
高い方で良いか!

請求の根拠が不透明だ!

最後に

ガイドラインが作られた事で多くのトラブルを未然に防ぐことができる様になりました。しかしながら、詳細に定められていない場合も多く、未だ話し合いで解決することが必要な事由が多いのが現状です。

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