
退去費用の算出に関する法律は、日本においては存在していません。
これは、退去費用が、借主と貸主との間で合意に基づいて決定されることが多いためです。
借主と貸主は、賃貸借契約を締結する際に、原状回復の内容や費用の負担割合などを取り決めることができます。
ただし、貸主が不当な費用を請求することや、借主が適正な費用の支払いを拒むことなどが問題となる場合もあります。その際には、裁判所や消費者センターなどが仲裁に入ることもあります。
また、国土交通省が発行している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、退去時の原状回復費用の算出方法や、借主と貸主の負担割合などについて、一定の指針が示されています。
ただし、このガイドラインはあくまでも指針であり、法的拘束力はありません。
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)
国土交通省は、原状回復をめぐるトラブルを解決するために「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」を発行しています。
このガイドラインは、原状回復をめぐるトラブルの解決方法や、費用の負担について、入居者と貸主の双方に対する指針を示しています。
具体的には、以下のような内容が含まれています。
- 原状回復に必要な作業の範囲についての指針
- 原状回復費用の算定方法についての指針
- 原状回復にかかる費用の負担についての指針
- 原状回復に関する重要事項の説明
また、このガイドラインは、入居者や貸主のみならず、不動産業界や行政機関にも向けられたものであり、より公平かつ透明なトラブル解決のために、様々な事例や解説が含まれています。
なお、このガイドラインはあくまでも指針であり、実際のトラブル解決には事情に応じて適切な対応が必要です。
しかし、入居者や貸主がこのガイドラインを参考にしながら、原状回復に関するトラブルを未然に防ぐことができるよう、普及・啓発活動が行われています。