本サイト・記事は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」をもとに作成しております。

賃貸マンション・アパートの退去で塗装壁の汚れがある場合の退去費用は誰が負担するべきなのか、費用はどれくらいになるのか・・」悩んでいませんか?

 

そんな方へ、管理会社で働き退去費用の精算を300回以上を行ってきた「敷金の師匠」が、懇切丁寧に説明します。

 

敷金の師匠

この記事は以下のような人におすすめ!

・塗装壁の清掃・再塗装費用は誰が負担するべき?

・クリーニングで落ちないものなの?

 

本記事を読めば、修繕費用は誰が負担すべきで、適切な金額はどの程度なのか知ることができます!

 

記事前半では”退去の基本的な考え方”を知っていただいた上で、後半では”症状別で壁紙の汚れに対する退去費用を誰が負担するのか”を解説していきます!

退去費用の基本的な考え方

記事を十分に理解するために、考え方を2つだけ知ってもらいます。

そこまで難しい内容ではないので一読するだけで理解していただけると思います。

 

では、早速いきましょう。

誰が費用負担するかを決める方法

1つ目に紹介するのは、修繕費用を誰が負担するのかを決める方法についてです。

不動産会社は、退去費用を借りていた人と貸していた人のどちらが負担するのかを、国土交通省の発行している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の中で定められたある基準に従って決めてます。

■判断基準となるルール

貸していた人(貸主)の負担となるのは、次に該当する場合

  • 自然劣化:正しい使い方をしていても、時間とともに物理的に進行してしまう劣化のこと
  • 通常損耗:通常の生活を送る中で生じてしまった痛みや損傷のこと

逆に、

借りていた人(借主)の負担となるのは、次に該当する場合

  • 自然劣化、通常損耗を超える損耗:故意的に、または使い方が悪かったことで起こる損傷のこと

賃貸借契約書の定めが優先される

2つ目に紹介するのは、1つ目に紹介したルールよりも優先されるものについてです。

 

それが、賃貸借契約書の定めです。

 

退去費用について賃貸借契約書での定めがある場合、それに従って処理されることになります。

特約で定められている事が多いため、きちんと確認するようにしましょう

 

■費用負担
日焼けによる塗装壁の変色については借主の費用負担となる可能性は非常に低い
■根拠
日焼け等による黄ばみ等は通常の住まい方を発生するため。
賃借人が通常の住まい方、使い方としていても発生するものについては、賃貸借契約期間中の賃料でカバーされてきたはずのものであり、賃借人は修繕等をする義務を負わないと考えられる。

家具跡による塗装壁の着色や黒ずみ

■費用負担
家具跡による塗装壁の着色や黒ずみは借主の費用負担となる可能性は低い
※本項目はガイドラインの中で名言されていない為、本サイト独自の見解です。
■根拠
家具の設置は必然的なもので有るため
賃借人が通常の住まい方、使い方としていても発生するものについては、賃貸借契約期間中の賃料でカバーされてきたはずのものであり、賃借人は修繕等をする義務を負わないと考えられる。

テレビ、冷蔵庫等の家電による電気やけによる塗装壁の黒ずみ

■費用負担
テレビ、冷蔵庫等の家電による電気やけによる塗装壁の黒ずみは借主の費用負担となる可能性は低い
■根拠
テレビや冷蔵庫は一般的な生活を送る上で必然的なものであるため
賃借人が通常の住まい方、使い方としていても発生するものについては、賃貸借契約期間中の賃料でカバーされてきたはずのものであり、賃借人は修繕等をする義務を負わないと考えられる。

エアコンからの水漏れによる塗装壁の汚れ

■費用負担の有無
エアコンからの水漏れによる塗装壁の汚れは借主の費用負担となる可能性は高い
※ただし、水漏れについて賃貸人に通知し、拭き取るなどのできる範囲で手入れを行った上で、やむを得なく汚れた場合には費用負担はないと考えるのが妥当である。
■根拠
拭き取る等の行うべき清掃・手入れを怠った為
水漏れ等は建物を原因とするものであるが、水漏れを放置したり、その後の手入れを怠った場合は、通常の仕様による損耗を超えると判断される事が多い。
■修繕方法と負担額

清掃で落ちる場合

○修繕方法
クリーニング
○金額目安
500円〜1,000円/㎡
※通常清掃を超え追加請求の可能性あり

清掃で落ちない場合

○修繕方法
再塗装
○金額目安
1,000円/㎡
※耐用年数について定めがないが、自然劣化を考慮して一部負担が妥当

落書きによる塗装壁の汚れ

■費用負担の有無
落書きによる塗装壁の汚れは借主の負担となる可能性が非常に高い
■根拠
落書きによる汚れは通常の使用を超える損耗であるため
■修繕方法と負担額

清掃で落ちる場合

○修繕方法
クリーニング
○金額目安
500円〜1,000円/㎡
※通常清掃を超え追加請求の可能性あり

清掃で落ちない場合

○修繕方法
再塗装
○金額目安
1,000円/㎡
※耐用年数について定めがないが、自然劣化を考慮して一部負担が妥当

化粧品等の着色による塗装壁の色移り

■費用負担の有無
化粧品等の着色による塗装壁の色移りは借主の負担となる可能性が非常に高い
■根拠
落書きによる汚れは通常の使用を超える損耗であるため
■修繕方法と負担額

清掃で落ちる場合

○修繕方法
クリーニング
○金額目安
500円〜1,000円/㎡
※通常清掃を超え追加請求の可能性あり

清掃で落ちない場合

○修繕方法
再塗装
○金額目安
1,000円/㎡
※耐用年数について定めがないが、自然劣化を考慮して一部負担が妥当

料理等によって出来た塗装壁の油汚れ・すす汚れ

■費用負担の有無
料理等によってできた壁紙・クロスの油汚れ・スス汚れは借主の負担となる可能性が高い
■根拠
清掃を怠ったことによる通常を超える損耗である為
使用後の手入れが悪くススやアブラ汚れが付着している場合は、通常の使用を超えるものと判断されることが多いと考えられる。
■修繕方法と負担額

清掃で落ちる場合

○修繕方法
クリーニング
○金額目安
500円〜1,000円/㎡
※通常清掃を超え追加請求の可能性あり

清掃で落ちない場合

○修繕方法
再塗装
○金額目安
1,000円/㎡
※耐用年数について定めがないが、自然劣化を考慮して一部負担が妥当

喫煙によるタバコのヤニ汚れによる塗装壁の黄ばみ

■費用負担の有無
喫煙によるタバコのヤニ汚れによる壁紙・クロスの黄ばみは借主の負担となる可能性が非常に高い
■根拠
喫煙によるタバコのヤニ汚れは通常を超えた損耗であるため
喫煙等によりクロス等がヤニで変色したり匂いが付着している場合は、通常の使用による汚損を超えるものと判断される場合が多いと考えられる。また、賃貸物件での喫煙等が禁じられている場合は用法違反に該当するので注意が必要です。
■修繕方法と負担額

清掃で落ちる場合

○修繕方法
クリーニング
○金額目安
500円〜1,000円/㎡
※通常清掃を超え追加請求の可能性あり

清掃で落ちない場合

○修繕方法
再塗装
○金額目安
1,000円/㎡
※耐用年数について定めがないが、自然劣化を考慮して一部負担が妥当

■補足
「タバコによる黄ばみによる損耗は通常損耗も含めて借主の全額負担となります」と不動産会社から言われた場合は、契約書で上記の内容についての定めがない限り過剰請求だと判断するのが妥当です。

家具等を移動させた時についた塗装壁の汚れ

■費用負担の有無
家具等を移動させた時についた塗装壁の汚れは借主の発生となる可能性が高い
■根拠
移動したことによってついた汚れは通常を超える損耗である為
家具を設置した跡についたものでなく、移動したことによってついた場合は、通常の使用を超えるものと判断されることが多いと考えられる。
■修繕方法と負担額

清掃で落ちる場合

○修繕方法
クリーニング
○金額目安
500円〜1,000円/㎡
※通常清掃を超え追加請求の可能性あり

清掃で落ちない場合

○修繕方法
再塗装
○金額目安
1,000円/㎡
※耐用年数について定めがないが、自然劣化を考慮して一部負担が妥当

10外壁・サッシからの水漏れによる塗装壁の汚れ

■費用負担の有無
外壁・サッシからの水漏れによる塗装壁の汚れは借主の費用負担となる可能性は低い
※ただし、水漏れについて賃貸人に通知せず、拭き取るなどのできる範囲で手入れを行わなかった場合には借主の費用負担となる可能性もあると考えるのが妥当である。
※本項目はガイドラインの中で名言されていない為、本サイト独自の見解です。
■根拠
外壁等からの漏水は拭き取る等の手入れが困難と考えられる為。
外壁・サッシからの水漏れは建物を原因とするものであり、拭き取る等の手入れが困難な場合も多く、貸主側の負担とすべき判断される事が多い。